2015年07月20日

21本目「レッド・ファミリー」


2013年 韓国
監督 イ・ジュヒョン 脚本 キム・ギドク 
出損 キム・ユミ チョン・ウ ソン・ビョンホ パク・ソヨン 


韓国の郊外に越してきた、一見普通の4人家族。しかしその正体は、赤の他人が集まった北朝鮮の工作員チーム“ツツジ班”だった。祖国に残した“本物”の家族を想いながら、非情な任務をこなしていく4人だったが、お隣さん一家との交流をきっかけに心が揺らぎ始める。

コメディだと思って観ていたら、容赦のない展開のつるべ打ちに茫然としました。終盤の“芝居”シーンの切なさといったら、もはや反則レベル。目から噴水が出ます!

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2015年06月26日

20本目「トム・アット・ザ・ファーム」


2013年 カナダ・フランス 
監督 グザヴィエ・ドラン 出損 グザヴィエ・ドラン ピエール=イヴ・カルディラル

ゲイの青年トムが、恋人だったギヨームの葬儀に出席するためカナダのド田舎を訪れたところ、ギヨームの兄貴で偏執的なホモフォビアのフランシスにとっ捕まって大変な目に遭うというサスペンスです。
支配する側と従属する側の間に生じる歪な愛憎関係(ストックホルム症候群的な)が丁寧に描かれ、ヒリヒリした緊張感がエンディングまで持続します。
終盤の演出と、エンディングに流れる曲からすると、本作にはトムとフランシスの関係をカナダとアメリカの関係になぞらえているようなんですが、政治に疎い筆者にはよくわかりませんでした・・・

監督・主演は2015年現在まだ26歳の若き才人グザヴィエ・ドラン。
繊細で依存体質のトムを、妖しい魅力たっぷりに演じています。
どうも見たことあるイケメンだと思ったら、あの超極悪トラウマ映画「マーターズ」で登場するや否やショットガンで蜂の巣にされる兄ちゃんを演じていた人ですよ!出世したなぁ〜。
※「マーターズ」はかなりの危険物ですので、興味本位で検索したり観たりしないことをオススメします。
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2015年05月31日

19本目「ある優しき殺人者の記録」


2014年日本・韓国
監督 白石晃士 出損  ヨン・ジェウク キム・コッピ 葵つかさ 米村亮太朗

フェイク・ドキュメンタリーの至高の到達点、ここに降臨!

韓国の障害者施設を脱走後、立て続けに18人を惨殺した殺人犯パク・サンジュン。
その幼なじみで女性ジャーナリストのソヨンは、潜伏中のサンジュンから独占インタビューの申し出を受ける。ソヨンは日本人カメラマン・田代をともない指定の場所を訪れるが、サンジュンの不意打ちに遭い廃マンションの一室に監禁されてしまう。
「これから起きることをすべて記録しろ。カメラを止めたら殺す」
サンジュンの口から語られる、18人殺しの想像を絶する異常な動機とは・・・
86分ワンカット、一台のカメラが捉え続けた緊迫の密室劇。
剥き出しの暴力と狂気の果てに、壮大かつ哀切な「奇跡」が待ち受ける!


今日本で一番面白いホラー映画を撮る監督といっても過言ではない(個人的意見です)白石晃士監督の最新作!
フェイク・ドキュメンタリーの金字塔的傑作「ノロイ」を始めとして、「オカルト」「カルト」そして「戦慄怪奇ファイル コワすぎっ!」シリーズと、白石監督のフィルモグラフィは映画好きの脳髄をビリビリ痺れさせる奇跡の傑作ばかり。
低予算をものともしないセンス溢れる映像表現、常に予想の斜め上をいく展開、恐怖と笑いの絶妙なブレンド。
今作はそんな白石監督の魅力が全て詰まった集大成的作品です。

※ネタばれです。鑑賞後にお読みください!







とっ捕まってプルプル震えるソヨンと田代に対し、サンジュンは18人殺しの動機について語り始めます。実はサンジュン、発覚していない殺人を含めるとすでに25人殺害しており、あと2人殺す予定だと言い出します。
しかし何も殺したくて殺しているんではない、とサンジュンは苦悩に満ちた目で告白します。
これは“神の啓示”なんだと。
自分が27歳になった時に、選ばれし27人の人間を殺害すると、幼い頃交通事故で死んだ、ソヨンとも仲の良かった少女・ユンジンを生き返らせることができると。完遂すればユンジンだけでなく今まで殺した人もすべて生き返るんだと。そう“神”からのメッセージがあったというのです。
この超高濃度電波発言に真っ青になるソヨン&田代。
なるべく刺激しないように「それはないんじゃあ・・・」と諭そうとするのですが、
「実はもう残りの2人捕まえてあるんだけど・・・」
とまさかの犯罪進行中!
しかしどうやらメッセージを解釈し間違えたらしく、選ばれし2人ではないと。(啓示によれば、選ばれし2人は真に愛し合っており、2人とも首にアザがあるらしい)
どうしたものかと悩むサンジュンでしたがその時ソヨンのケータイに着信が!
出てみるとソヨンの上司から。
ところが途中からノイズが入り始め音声がぶつ切りになり、しまいにその途切れ途切れのその声が
「フ・・タ・・リ・・コ・・ロ・・セ・・」(なぜか日本語)
と聞こえたからサア大変!
「聞いたか!?これが神の声だ!」
サンジュン、苦悩しつつもトリコの2人を殺害!ソヨンと田代は何もできず傍観。
そして新たな啓示を求めるサンジュンは雑誌に載ったソヨンのインタビュー記事から文字列を拾い、メッセージを解読。もうすぐ日本人カップルがこの部屋にやってくる。それが選ばれし2人に違いないと。そんな馬鹿な・・・と思ったら本当に来た!
またもや不意打ちを食らわしてカップルの捕獲に成功。
しかしこのカップル、普通の旅行者ではありませんでした。どこからどう見てもカタギではない、アンダーグラウンドな世界の住人だったのです。(米村亮太朗・葵つかさ熱演)
選ばれし2人の証である、真の愛を見せてみろと迫るサンジュンでしたが凶暴かつしたたかなカップルには通じず、いくら痛めつけても思い通りになりません。思い余ったサンジュンは「女をレイプするぞ!」と脅しますが「やれるもんならやってみろ!お前童貞だろ」と挑発され激昂。
本当に実行してしまいますがなぜか米山亮太朗は嬉しそう。実はこの2人、寝取られ願望のある変態カップルだったのです・・・
その後逆襲につぐ逆襲の結果、日本人カップルは死亡。途中からサンジュンに味方したソヨンと田代は重傷を負います。しかし、奇跡は起きませんでした。実はサンジュンとソヨンこそが最後の選ばれし2人であり、その証として首にアザがあったのです(ソヨンは途中から気づいていたが、サンジュンは自分にアザがあることを知らなかった)
「わたしを殺して。ユンジンを生き返らせて」ついに啓示を信じた瀕死のソヨンを、泣きながら絞め殺すサンジュン。田代も死に、サンジュンはカメラを手にマンションの屋上へ向かいます。
「これで奇跡が起きなかったら、僕は神を赦さない!」泣き叫びながら命を絶とうとするサンジュン。
その時!天空に渦巻く雲海から、無数の触手が伸びてきた!
サンジュンがカメラもろとも放り出されたのは、十数年前、ユンジンが事故に遭う直前の世界。
サンジュンはユンジンを守り、自分が車にはねられて死亡。
とカメラだけが超空間に吸い込まれ、また現代へ。
クリスマスでにぎわう街を楽しそうに連れ立って歩くサンジュンとソヨン、そして大人になったユンジンをカメラが映し出し、物語はまさかのハッピーエンドで幕を閉じます。


観終わって真っ先に思い浮かんだのが、同じ白石監督の「オカルト」。
どちらも「”神様”からの毒電波で反社会的行動を犯す人間」が主人公ですが、決定的に違うのは、「オカルト」がとてつもないバッドエンドを迎えるのに今作は一見ハッピーエンドだということ。しかしこれは本当にハッピーエンドなのか?終わりよければ途中何をやってもいいのか。なまじなバッドエンドよりはるかに観る人のモラルを揺さぶってくる結末です。
それにサンジュンが大量殺人を犯した元の世界がもし消失したのだとしたら、そこで大なり小なり幸せを手にしていた多くの人々を抹殺したことになり、そう考えると27人殺しどころか宇宙規模のジェノサイドが発生したことにならないか。
それを言ったら歴史改変物はみんな同じことが言えるわけですが・・・

まあ、そこまでして運命を覆そうとしたサンジュンが最後報われたことにはやはりジーンとくるものがありました。
posted by 竹島書店おすすめ映画 at 04:34| Comment(0) | 日記